腔内照射について
体腔内に治療用の器具を挿入し、その中に放射線の線源を通すことで体の中から対象となる病巣に集中して照射を行う方法です。
当院では主に子宮の癌に対する初回治療もしくは術後の局所再発に対する治療として腔内照射を実施しています。
子宮頸がんの放射線治療
子宮頚がんの放射線治療では一般的に、リニアックなどを使用して体外から放射線を照射する外照射と、子宮や膣内から放射線源を用いて照射を行う治療を行う腔内照射というふたつの治療法を組み合わせて行います。
腔内照射は、線源の移動する領域の周囲に高い線量を集中して照射するため、他臓器の照射線量を抑えながら病巣に高い線量を集中することができます。
その一方で、線源から離れた部位への線量は低くなるため、子宮内腔や膣から離れた位置にある病変(リンパ節転移など)の治療には適しません。
腔内照射の適応
子宮頸がん、子宮体がんに対する根治的な治療として行われるほか、術後の断端再発例などにも腔内照射の適応となる場合があります。
ただし、上で述べたように子宮や膣から離れた位置にある転移病巣や巨大な腫瘍の治療には適しません。
適宜化学療法や外照射と組み合わせて治療を行います。
腔内照射の実施の流れ
治療前診察
通常子宮頸がんの根治的治療として腔内照射を行う場合は、子宮内腔に線源を通すための金属製の管を挿入する必要があります。きちんと管を挿入することができるかを判断するために、事前に外来で診察を行い、問題なく実施できることが確認できれば治療の日程を決めます。
通常、腔内照射は週一回、数回に分けて実施します(原病の状態などによって変わります)。当院では腔内照射は火曜日と水曜日の午後のいずれかに実施しています。 腔内照射を行う日には外照射は行いません。
治療日
子宮腔内に器具を挿入する時など、治療の手技に伴って痛みを感じることがあるので、治療実施前に痛み止めの座薬を使用します。
治療の際は、専用の治療室で載石位と呼ばれる両足を持ち上げた体位を取り治療台の上で仰向けになります。仰向けの姿勢や股関節を大きく曲げることが難しい方はご相談ください。
必要な器具を子宮・膣腔内に挿入した後で、膣の中にガーゼをつめてこれらを固定、この状態でCTを撮影して位置を確認し、必要な放射線量を専用のコンピューター上で計算する治療計画を行います。
照射時間は10~20分程度で、照射中には特に痛みなどは感じませんが、照射中は治療室内にはほかの人は立ち入ることはできません。治療の開始から照射終了まではおよそ1時間程度必要とします。
他院から来院される方へ
他院で外照射を受けながら当院で腔内照射のみ行うことも可能です。その場合、治療の経過・予定などを記載した紹介状と、当院の初診予約が必要となります。
当院の初診予約を希望される方は、慶應義塾大学病院 外来診療案内のページをご覧ください。
毎週火曜日・水曜日午後治療実施