放射線診断科

診療

 放射線診断科には、大きく2つの診療業務があります。1つは、X線・超音波・CT・MRI・PETなどの画像検査の業務で、もう1つは、画像をガイドとした治療(IVR)の業務です。

1.画像検査

1) 画像検査業務の実際

 低侵襲で効率の良い画像検査を導入し、診断の手順に組み込みながら、個別に最適で安全な検査を提供し、病気の早期診断を行っています。画像診断を通してあらゆる診療科をサポートし、「病院全体の質の向上に貢献する」ことがモットーです。
具体的に担っている業務は、大きく以下の4つになります。

① 低侵襲で効率のよい最新の画像検査の導入
 精度の高い画像診断を行うには、最適な画像検査が必要です。画像診断は他の医療分野と比べて進歩が早い領域です。私たちは常に最先端の機器や検査法を取り入れ、患者さんの負担の軽減に努めています。例えば、入院が必要な画像検査を外来で行える検査に置き換える、数種類を組み合わせて行っていた検査を、情報量の多い画像検査を導入し1つにまとめる、高速撮影による検査時間の短縮、被ばく低減への積極的な取り組みなどを実践しています。

② 画像検査の管理(最適な撮影法の指示と安全管理)
 患者さんの症状や病態を検査の前日にチェックし、撮影条件(被ばく管理)、撮影のタイミング、造影剤投与の必要性など、最適な検査法の指示出し行っています。不要な検査は断ったり、他の検査を勧めたりすることもあります。また、検査の際は常に検査室に居て、検査が安全かつ適切に行われていることを確認しています。造影剤投与後に、稀にアナフィラキシー症状が出たり、造影剤漏出が起きることがあり、適切な対応を行っています。

③ 撮影された画像に対する病気の診断(読影)
 放射線診断医の最も大きな役割の1つは、撮影された画像に対して病気の診断(読影)を行うことです。ほぼ全ての診療科の画像診断に対応しており、全身を診ていることになります。

④ 他科とのカンファレンスでの治療方針の決定
 判断の難しい症例では、カンファレンスであらゆる画像所見を統合的に検討し、臨床所見と合わせて、主治医と治療方針を検討しています。放射線診断医の最も重要な役割と思われます。患者さんと直接接することは少ないですが、私たちは読影やカンファレンスを通して治療方針の決定に大きく関わっています。

2) 当科の特色

 各診断医は臓器ごとの専門性を持っていますが、当科は、全領域に対応できる診療体制を整えています。また、各診断医の読影レベルは高く、多くのフィリムリーディング(読影コンテスト)で優勝や入賞者を出しています。

 最大の特色は、CT検査、MRI検査のみではなく、核医学検査、マンモグラフィー、消化管造影、超音波検査など病院によっては他部門が担うことがあるような業務も放射線診断科で一括して担っているため、放射線診断医が各患者の統合的な診断を提供することができています。

3) 当科で担っている検査

放射線診断科は,下記のような画像検査を行っています。

 マンモグラフィー
 消化管造影
 超音波検査
 CT検査
 MRI検査
 核医学検査

2.IVR(画像下治療)

1)IVR業務の実際

 IVR(画像下治療)は、血管造影装置、CT、超音波装置などの画像診断装置を用いて、カテーテル、特殊な針などを体内に挿入し、臓器の機能を温存しながら、患者さんの負担を少なくして完治あるいは症状の軽減を目指す手法です。
対象疾患・臓器により、IVRを担当する診療科が異なっていますが、体幹や手足(四肢)など、心臓や脳の動脈を除く全身の各領域の血管IVRや非血管IVRは、関連各診療科との密接な連携を保ちつつ、放射線診断科が担当しています。
具体的に担っている業務は、大きく以下のものになります。

① 肝細胞癌などの腫瘍に対する動脈塞栓術
② 肺、腎臓など血管奇形、脾臓、腎臓などの動脈瘤の動脈塞栓術
③ 皮膚の血管腫(医学的には静脈奇形、動静脈奇形)の硬化療法
④ リンパ漏に対する塞栓術
⑤ 臓器の膿瘍、異常液体貯留の穿刺ドレナージ(排液)術
⑥ 肺、肝臓、腎臓、骨などの腫瘍の経皮的生検術、

2)当科の特色

 当院放射線診断科は国内でも有数のIVR施行施設で、大学病院としては国内トップの症例数を誇っています。また、IVRに使用する血管造影装置、CT、超音波装置も最新鋭の装置を備え、最適な画像のガイドでIVRが行える状態となっています。

 特に腎動脈瘤、脾動脈瘤、肺動静脈奇形の動脈塞栓術では学会をリードする立場にあり、当科のIVR外来では他施設から多くの患者様の紹介を受けています。また、形成外科とともに血管腫・血管奇形外来をマネージしており、積極的に治療を行っています。リンパ系の病態に対する画像下治療も先進的に取り組んでおり、国際的に高い評価を受けています。
また、各種臓器(肺、肝臓、腎臓、骨など)の腫瘍の針生検でも、日本有数の経験から、高い安全性、高い診断精度を誇っています。現在の医療の基盤となる病理診断に基づく治療、遺伝子診断に基づく精密医療などの重要なパーツとなっています。これら穿刺技術を応用して、高い精度のドレナージ技術を養っており、手術後などの万が一の状態に対しても優れた対応が可能となっています。

 その他、リンパ系の病態に対する画像下治療も先進的に取り組んでおり、国際的に高い評価を受けています。

3)当科で担っている手技

放射線診断科は,下記のような手技を行っています。

 血管造影(一般)
 血管病変のIVR(画像下治療)
 がんのIVR(画像下治療)

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