診療

頭部定位放射線治療

対象疾患

他部位の悪性腫瘍が脳に転移したものや悪性原発性脳腫瘍、良性脳腫瘍(聴神経腫瘍など)のうち、比較的サイズが小さく病変の数が少ないものに対して行われます。
当院では直径3cm程度、1-3個程度までは定位放射線治療の適応となりえますが、、病変の大きさ、数がそれ以上の場合は他の方法で治療することを原則としています。
病変の種類、位置、大きさなどによって、一回で照射を行う場合と複数回で照射を行う場合があります。

頭部定位放射線治療用装置

頭部固定装置

頭部の定位照射では、毎回の治療の位置合わせは誤差1mmという高い精度で実施する必要があります。
当院では頭蓋内病変の定位放射線治療を行う際、頭部の固定精度を高めるため、HeadFIX(R)という専用の固定装置を使用しています。
これは、患者さん一人一人に専用の樹脂製の歯形を作成し、その歯形を固定することで上顎・頭部を固定する装置です。これにより治療実施時に治療計画CT撮影時と同じ体位を再現し、より正確な照射を可能とします。
ピンを用いて頭蓋骨に金属フレームを直接固定する方法に比べて、苦痛が少なく非侵襲的に頭部を固定でき、複数回に分割しての照射も可能となります。

headfix image

治療の流れ

頭部固定用歯形の作成

頭蓋内病変の定位照射を行う際に、頭部の固定精度を高めるために、様々な固定具が用いられていますが、当院では患者さん一人一人に個別に作成した歯形と専用の固定具を用いて頭部の固定を行っています。
患者さん一人一人に専用の歯形を作成する必要があるため、治療計画を行う前に当院の口腔外科外来で歯形を作成します。
ただし、総入れ歯の場合などはそのままでは固定精度が落ちるために、事前に義歯の加工などの処置が必要になる場合があります。

治療計画画像の撮影

上記の固定具を用いて頭部を固定した状態で治療計画を作成するためのCT,MRIといった画像検査を行います。治療計画は基本的にCT画像をもとにして行いますが、CTだけでは確認しがたい病変の広がりを確認するためにMRI画像との合成(フュージョン)を行います。
このため、治療の前に歯形で頭部を固定した状態でのCT,MRIの撮影が必要になります。歯形作成、治療計画画像(CT,MRI)の撮影までは通常外来で行います。

治療の実施

上記の計画画像から作成した治療計画に基づき、実際の治療を行います。治療計画の作成には、通常一週間程度の期間をかけています。

実際の照射を行う際には、事前に計画した標的に正確に照射できるかを治療前にIGRT技術を用いて確認します。通常の外照射よりも高い精度での位置決めが要求され、なおかつ多方向からの照射を行うため、一回の治療当たりの商用時間も30分~1時間と長くなります。

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