アイソトープ内用療法
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骨転移を有する去勢抵抗性前立腺癌に対するラジウム223内用療法
ラジウム223内用療法の概要
ラジウム223(ゾーフィゴ注®)は放射性医薬品の一種です。放射性薬品とは放射性物質を含んだ薬で、ラジウム223は、静脈注射で体内に投与された後にそこから放出されるアルファ線(α線)と呼ばれる放射線によって、骨に転移した癌細胞に対して治療効果を発揮します。ラジウム223は、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌※の治療薬として世界で初めて用いられ、複数の国々で共同実施された臨床試験の結果では、ラジウム223を投与した去勢抵抗性前立腺癌患者さんは、使用しなかった患者さんと比較して生存期間の延長が認められ、科学的にその効果が示されています。日本では、2016年3月に、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対して使用することが承認されています。
※男性ホルモンの分泌を抑える治療を実施しても病状が悪化する前立腺癌のこと
ラジウム223内用療法の作用機序
ラジウム-223には、骨の成分であるカルシウムと同じように骨に集まりやすい性質があり、注射で体内に送られると、代謝が活発になっている癌の骨転移巣に多く運ばれます。そして、そこから放出されるアルファ線が、骨に転移した癌細胞の増殖を抑えます。
ラジウム223内用療法の適応
・骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌であること
・画像検査の結果、内臓転移が認められないこと
・骨シンチグラムで骨転移に一致する集積更新が確認されていること
・初回投与前に、好中球>1500μL, 血小板>100000/μL, ヘモグロビン>10.0g/dLが満たされており、骨髄機能が保たれていると考えられること
・脊髄圧迫のある場合は、投与前に適切な処置がとられていること
・重度の肝機能、腎機能障害がないこと
ラジウム223内用療法を行う前に、これらの条件を満たしているのか確認のために検査が必要になる場合があります。
ラジウム223の副作用
・注意が必要な副作用として、「骨髄抑制」があります。骨髄抑制とは、白血球や血小板、赤血球などをつくっている骨髄の機能が低下して、これらの血液細胞が減少することをいいます。
・その他の副作用(発現頻度5%以上)として、悪心・下痢・嘔吐・食欲減退といった消化器系の副作用、骨痛、疲労が報告されています。