バリウム造影

 硫酸バリウムの安全性と有用性

硫酸バリウムによる胃の造影

X線発見直後から消化管造影剤が懸命に模索され,ひとまず当時潰瘍治療薬としての実績があった次硝酸ビスマスに落ち着いた.原子番号(83)が大きいビスマスは造影能に優れ安価であったが,造影剤として大量に使用すると消化管刺激症状,血液毒性(メトヘモグロビン産生),時に重篤な神経症状など有害事象があることからより安全な造影剤が求められていた.ここに紹介するBachemらの論文は,現在もなお使われている硫酸バリウムの消化管造影剤としての安全性,有用性を最初に報告した記念碑的な論文である.折しも第一次世界大戦が始まり,欧州から米国へのビスマス供給が停止したこともあり,特に米国では硫酸バリウムが急速に広まった.

Bariumsulfat als schattenbildendes Kontrastmittel bei Röntgenuntersuchungen

X線検査における造影剤としての硫酸バリウム

C. Bachem C & H. Günther. Zeitschrift für Röntgenkunde 12:369-376,1910

前半では化学者であるBachemが硫酸バリウムの物理化学的性質とその安全性について論じ,後半は臨床医のGüntherがその具体的な投与法について述べている.
原文 和訳

 

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