医局員の声
「光が、射すとき」
入局5年目
出身大学 慶應義塾大学
初期研修 町田市民病院
初期研修医のみなさん、こんにちは。これを読んでいる方は、放射線科への入局を考えていると思いますが、実際のキャリアについてはわからないことも多いでしょう。私は大学を卒業し、今年で医師7年目に入りました。ところどころ個人的な話になってしまい申し訳ありませんが、大学時代から卒業後の6年間をざっと振りかえってみましたので、少しでもみなさんの今後のキャリアをイメージする上で参考にしてもらえれば幸いです。
少しばかり話が遡ってしまいますが、私は慶應での医学部時代から、自分の医師としての適性について悩むことが度々ありました。しかし試験勉強だけは好きだったため、部活と趣味に明け暮れた生活のまま、なんとなく卒業してしまったのです。今から思えば、真剣に自分の将来を考えることから逃げていただけだったのかもしれません。
案の定、そのツケは研修医になってから感じることになりました。あまり深く説明すると暗くなってしまうので避けますが、私の医師としての最初の1年間は、まさに出口の見えない暗いトンネルを歩かされているようでした。思い出すだけでも、泣けてきます。
そんな時、初期研修先の病院の放射線科部長が、放射線科で研修してみないかと誘って下さいました。仕事しながらおいしいコーヒーが飲めるのは放射線科だけだよ、といった冗談交じりなお誘いでしたが、自分の様子を気にかけてくださったことに救われた気持ちでした。もともとCTやMRIに対して多少の興味がありましたが、放射線科をローテートし始めると、あっという間に画像の面白さに引き込まれてしまいました。どの科をローテートしていたときよりも朝早く読影室に行ってCTを読み、夜は誰より遅くまで残ってCTを読み、家に帰って毎日教科書を読んだのを覚えています。そして幸運なことに、当時の放射線科部長はご自身の業務そっちのけで私の指導をして下さいました。ほんとうに月並みな言葉ですが、まさに、私にとって光が射したときでした。残りの初期研修は、必修の診療科以外のほとんどの期間を放射線科に充て、早く一人前になりたい一心で、ひたすら画像全般の勉強をしました。初期研修中は様々な科をローテートするべし、という意見も多いですが、それはあくまでローテートを楽しめる気持ちがあっての話だと思います。私にとっては、あの時期に夢中で勉強したことは、初期研修で最も有意義な時間だったし、放射線科医として全ての土台となっていると実感しています。
こうして初期研修の2年間を(何とか)終えた私は、母校の慶應義塾大学医学部 放射線科教室で放射線科医としての修練をスタートしました。当科の研修プログラムは非常にバランスがよく、最初の2年間を大学病院で過ごすことで、CT・MRIや超音波検査、IVR部門、放射線治療などを万遍なく学ぶことができるのですが、詳細は他稿をご参照ください(投げやりですみません)。そんなことよりも大切なことがあります。大学で放射線科をローテートしたことがある方であればご存知かもしれませんが、放射線科レジデントは最初の2年はほとんど勉強することばかりなので、全くもって診療の役に立ちません(hyper病院の初期研修医の方がよっぽど役に立っています)。そのため、先輩の先生方から少しでも多くを学ぶ姿勢がないと、まともな放射線科医になれません。慶應放射線科の良いところ、それは頼れる先輩たちがたくさんいることです。医局員の多さは日本でも有数の教室ですので、必ず気の合う兄さん、姉さんキャラの先輩に出会うことができるでしょう。私も医局の優しい(?)兄さん姉さんたちから多くのことを学び、時には怒られ、時には褒めてもらい、時には勉強会や学会にくっついて行き、時には飲んだりしながら、大学病院での2年間を過ごしました。他科と比べて仕事をしている実感に乏しい2年間ですが、次のステップのために非常に重要な期間であったと思います。
さて2年間の修業が終わると、次は関係病院での修練が始まります。これは2年もしくは3年のことが多いですが、どの病院もそれぞれ特色があります。私は横浜のとある総合病院へ出張し、医局の大先輩である部長の下で、画像診断やIVRの修業をしてきました。自分自身で画像を読影し、臨床の先生とカンファレンスで討議し、時には自分でIVRをするなど、はじめて現場で活躍できた毎日でした。時には診断困難な症例を大学の先輩たちにコンサルトしたり、難しいIVR症例を大学の先生に来ていただいて一緒に施行したりすることも可能で、大学との繋がりもきちんと保たれていました。一方で、空いた時間を自由に使って新しいことに挑戦し、大好きな趣味の世界を深く掘り下げることもできました(詳細は入局したら教えてあげます)。
関係病院での2年間は、他にも嬉しいことがありました。それは初期研修医を指導する機会に恵まれたことです。様々な研修医を指導したことで、自分自身の研鑽にも繋がりましたし、そこで過去の自分と同じ悩みを抱える研修医にも出会いました。彼にはとりわけ熱心に指導をし、いろんな相談にも乗りました。結果として彼が放射線科を志してくれたこと、何より眼に輝きを取り戻したことは、私にとって貴重な経験となりました。
2年間の関係病院の出張を終え、私は再び大学病院に戻ってきました。今後はまずは診断専門医の取得、さらに自分の専門領域の追及や後輩の育成など、新たな目標を立て、自分なりのペースで楽しく仕事をしていきたいと考えています。
雑多な文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。1人でも多くの後輩たちを迎え、先生たちと一緒に働くのを楽しみにしています。
「慶應放射線科に興味のある皆さまへ」
入局5年目
出身大学 東北大学
初期研修 済生会横浜東部病院、慶應義塾大学病院
初めまして。私は2012年に東北大学医学部を卒業後、慶應義塾大学病院・関連市中病院での初期臨床研修を経て、慶應義塾大学放射線科に入局しました。2年のローテート後に放射線治療を専攻し、東京医療センター、東海大学医学部付属病院で研鑽を積んだ後、2018年4月より慶應に帰室しています。
まず、私のように慶應出身者ではなくても、日々楽しく有意義に過ごすことができる雰囲気が慶應放射線科にはあります。
放射線科医には以下のような魅力があると考えています。
① 他診療科と異なり全身の臓器の診察、治療をすることができる。一つの臓器・領域を極めることもできる。
② 放射線治療医はがん治療の分野でますます必要とされており、放射線治療は多くの腫瘍において手術等と同等の成績であり、切らずに低侵襲でがんを治すことができる。
③ 放射線診断医は画像診断を通じて他科の先生にコミットし、IVRを通じて患者さんを直接救うこともできる。
④ 新しい治療技術、診断技術があり、研究テーマが様々である。
⑤ 家庭や子育て、趣味を大事にしながら診療や研究ができる。
慶應放射線科にはこれらの魅力を感じさせてくれる環境が全て揃っています。入局後、CT/MRI:8ヶ月、超音波:4ヶ月、IVR:4ヶ月、放射線治療:4ヶ月をローテートしたのち、治療科または診断科を専攻します。私は治療科を専攻しましたが、放射線治療においても読影能力は必須でありますし、現在の診療においてもそれが活かされています。慶應放射線科ではこのようなことを考慮して治療医希望、診断医希望、どちらか専攻を決めていない人を同じ門戸で受け入れています。
慶應での2年間を終えると関連病院への出向となります。私は東京医療センターと東海大学医学部付属病院に1年ずつ出向しました。東京医療センターは前立腺癌の密封小線源療法の症例数が日本で最も多い施設であるとともに、症例を満遍なく経験することができました。放射線腫瘍医、がん診療医としての考え方や患者さんとの向き合い方について深く教わりました。東海大学病院は年間1000-1100件程度の症例数の多い施設で更なる臨床経験を積むことができたと共に、研究面でもサポートをしていただきました。患者さんに役立つような研究をするにはどのような視点、観点を持っていけばよいかといったリサーチマインドについて教わることができたと思います。
私の経験からも明らかな通り、その場所でしか培えない経験ができる魅力的な関連施設が慶應にはたくさんあります。
少しでも放射線治療、画像診断、IVRに興味を持った方、歓迎します。ぜひ一度見学にいらしてください。
入局4年目(大学院2年目)
出身大学 埼玉医科大学
初期研修 関越病院
志望動機
初期臨床研修の際に特定の科を選びきれない状態が続いていました。放射線診断科は全身を診ないといけないので選ぶ必要がないし、IVRで患者さんと触れ合う機会もある、そこが決め手になりました。
慶應を選んで良かった点
(1)医局の雰囲気が良かった。
(2)層が厚く、各領域のspecialistから直接ご指導いただける。
(3)同期が多く、お互い切磋琢磨して成長できる環境である。
(4)関連病院が充実している。
現在の研修内容等
現在大学院2年目として、世界初の全身撮影可能な立位・座位CTを用いて、立位や座位における解剖学的構造や臓器機能に関する研究を行っております。新たな発見が得られることが多く日々充実しています。
大学院生の場合、週1.5日は診療業務、1.5日は外勤、3日は研究日となっています。これまでの専修医期間とは異なり自分のペースで仕事や研究ができる環境で公私ともに充実した大学院生活を送っています。
入局3年目(大学院1年目)
出身大学 大阪大学
初期研修 川崎市立川崎病院
診断や治療方針決定への画像検査の重要性が高まり、Doctor’s doctorと呼ばれる放射線診断医に憧れをいただいていました。
日進月歩の画像診断装置の特性を理解し、専門家として的確なモダリティー選択と読影ができるようになりたいです。
慶応義塾大学放射線科学教室は、豊富な症例と各分野の先駆者の指導医のもと、CT、MRI、核医学の読影、IVR、超音波手技の習得、放射線治療計画を含め、幅広く、バランスよく研修できるのが魅力です。院内外のカンファレンスへの参加も積極的で、先輩の先生方が面倒見がよく、親切です。
今年度から大学院に入学しましたので、専門分野を深め、患者さんにとってより低侵襲で診断能が高い検査法の研究に携わりたいです。
入局2年目
出身大学 慶應義塾大学
初期研修 横浜労災病院
・放射線科を志望した理由:もともと診断学は好きでしたが、初期研修を経て「医療」よりも「医学」寄りの分野が好きであることに気づいたことと、粟粒結核のCTをみてその美しさに感動したためです。
・慶應を選んだ理由:出身校であることもありますが、質問に快く答えてくださるスタッフの先生が豊富であり教室の運営方針が明確であること、超音波と血管内治療の研修が可能なこと、建物もきれいで福利厚生が他大学の医局よりも充実していたためです。
・現在の研修:一年目は業務になれるので精一杯でしたが、二年目以降はやや勉強する余裕もでてきました。オンとオフがはっきりしていることもあり、メリハリのある研修ができとても充実しています。
入局2年目
出身大学 熊本大学
初期研修 近森病院
科の選択で、私は放射線科と内科とで悩みました。緩和医療の関係で放射線治療に興味があり、また読影も楽しく、放射線診断にも興味がありました。患者さんと接するのが好きで、内科と最後までかなり考えて放射線科を選択しましたが、今ではその選択に満足しています。
慶應を選んだのは、研修病院の上級医の勧めがきっかけでした。慶應は出身大学でも研修病院でもなく、当初は情報が皆無でした。見学も最初は不安でしたが、先生方が皆優しく、丁寧に案内して頂き、見学後は慶應での研修を前向きに意識できました。
慶應の研修はもちろんしっかりしていますが、研修する自分をイメージできることも同様に重要です。後期研修の科や病院をまだ決めていない方でも、少しでも興味が湧いた際には一度見学に来られるのをお勧めします。
入局2年目
出身大学 群馬大学
初期研修 川崎市立川崎病院
放射線科を選んだ理由
手術で治せない癌の根治治療から緩和照射までできる放射線治療に魅力を感じました。
また、放射線科は緊急が少なく、家庭と仕事の両立をしやすい印象を受けました。実際に他科から転科された女性の先生もいらっしゃいます。
慶應義塾大学を選んだ理由
初期研修病院が関連病院だったので、入局先として検討しました。医局員が多く、様々な分野の専門の先生がいらっしゃること、また、診断科と治療科を一つの科として、研修できることが魅力的でした。
研修プログラム
大学でCT/MRI、IVR、治療の研修を2年間受け、関連病院に派遣されます。最初の時期に大学で手厚い指導を受けられることは、有難いことだと思います。市中病院とは違い、教科書を読んだり、勉強会に参加したりと自己研鑽を積む時間もあります。
入局2年目
出身大学 東北大学
初期研修 岩手県立磐井病院
放射線科志望動機
学生の時に放射線耐性細胞を作る基礎医学研究室で半年間勉強させていただき、放射線科に興味を持ったからです。
慶應を選んだ理由
最先端の放射線科が学べると思ったからです。
現在の研修内容
現在はIVRをローテートしています。IVRはon/offがはっきりしており充実した毎日を送っています。指導医からは大変親身なご指導をいただき本当に感謝しています。また、学会発表の場もいただき、スキルとアカデミックの両方から質の高い研修をさせていただいています。