婦人科
婦人科領域の画像診断としてMRIは重要な役割を果たしています.これまで当教室では,産婦人科との協力の下,子宮頚がんの広がり評価における造影後T1強調像の有効性を検証しました(Eur Radiol. 2011;21:1850-7[→] ).また,子宮筋腫の血流評価も研究テーマのひとつです.MRIでは,ガドリニウム造影剤を静脈注射したのち,T1強調像における信号上昇で「染まる,染まらない」を判定しますが,これは血管量と,血管から細胞外スペースに漏れ出た造影剤量を反映した評価です.純粋な血管床量のみを評価するためには特殊な撮像方法を用いる必要があり,そのひとつが,ダブルエコーを用いたダイナミックR2*画像です.本法を子宮筋腫の血流評価に応用し,筋腫血流量とホルモン療法による縮小効果との相関を見いだし(Radiology. 2008;248:917-24[→]),ホルモン療法後の筋腫血流変化を実測するなどの検討を行ってきました(Magn Reson Med Sci. 2012;11:283-9[→]).さらに,胎児のMRI撮像にも積極的に取り組んでおり,その臨床応用が始まった初期から,臨床経験を報告してきました(Radiographics. 2000;20:1227-43[→], Abdom Imaging. 2003;28:877-86[→], Radiology. 2004;232:767-72[→]).
図:T1強調像では,造影剤が入った後,細胞外スペースにとどまった造影剤の影響で,筋腫は染まったままです(右図).一方,R2*強調像では,血管内の造影剤を反映しますので,造影剤が血管を通過するときのみ高信号となり,血管床量を評価することができます(左図).